指しゃぶりはいつまで?長期間行う影響とやめさせる方法を解説
- 2025/01/01
- 小児歯科
本記事では、指しゃぶりが始まる時期や原因、長期間続けることによる影響、やめさせるための方法を解説します。
お子様の指しゃぶりについて悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
指しゃぶりはいつから始まる?
指しゃぶりは、一般的に生後2~3か月頃に始まることが多いとされています。しかし、それよりも前、お母さんのお腹の中にいる頃から指しゃぶりをしている赤ちゃんもいることが、超音波検査などで確認されています。
これは、赤ちゃんがお腹の中で口や指の動きを練習しているためです。生まれたばかりの赤ちゃんにとって、母乳やミルクを吸うことは生きるためにとても大切なこと。そのため、生後4か月くらいまでの赤ちゃんは、口の周りにあるものに吸い付く「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)」という反射的な行動が見られます。指しゃぶりも吸啜反射の一種であり、赤ちゃんが成長していく上で自然な行為なのです。
その後、成長とともに周りのものに興味を持ち始め、1~2歳頃になるとおもちゃや人形などで遊ぶ時間が増えていきます。それに伴い、指しゃぶりは眠いときや退屈なときなどにする行動へと変化していきます。そして、5歳を過ぎる頃には自然としなくなっていくのです。
指しゃぶりをする原因は?
赤ちゃんはなぜ指しゃぶりをするのでしょうか?その理由は以下の通りです。
吸啜反射によるもの
先ほど解説した通り、生後4か月くらいまでの赤ちゃんは、口に触れたものに吸い付く「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)」という生まれつきの反射を持っています。指しゃぶりもこの吸啜反射の一つであり、お腹が空いていなくても口元に触れた指を無意識に吸うことがあります。
手の存在を認識している
生後2~3か月頃になると赤ちゃんは自分の手の存在に気づき始めます。指をしゃぶることで手の感触や形、味などを確認し、自分の体の一部であることを認識していくのです。
眠たい・安心したい
指しゃぶりは、赤ちゃんにとって心を落ち着かせるための手段の一つでもあります。眠たいときや退屈なとき、不安を感じているときなどに指をしゃぶることで緊張感を和らげたりする効果があると考えられています。
手を使って遊んでいる
手の動きが活発になるにつれて、指しゃぶりを通して手や指の動きを練習したり、感覚を確かめたりする遊びの一環として行うこともあります。
指しゃぶりが長引くことで影響することは?
長期間、強い力で指しゃぶりを続けると、以下のような歯並びやかみ合わせを引き起こす可能性があります。
出っ歯
指で上の前歯を押し出す力が加わることで、上の前歯が前方に押し出されます。
受け口
上の前歯が内側に押され、下の前歯が前方に押し出されることがあります。
開咬(かいこう)
奥歯をかみ合わせたときに、上下の前歯の間に隙間ができる状態です。
交叉咬合(こうさこうごう)
正常な咬合では上の歯が下の歯を少し覆うようにかぶさっていますが、交叉咬合は通常とは逆転している状態です。
指しゃぶりによって口周りの筋肉の発達に影響が出ると、顎の成長が妨げられ、歯が綺麗に並ぶためのスペースが不足することがあります。ただし、どの指をどれくらいの強さでしゃぶっているかによって現れる影響は異なります。
指しゃぶりをやめさせる方法は?
指しゃぶりは、3歳頃までに自然に治まれば、たとえ一時的に前歯が出ていたとしても自然と元の位置に戻ると考えられています。
そのため、3歳までは過度に心配する必要はありません。しかし、4歳を過ぎても続く場合は癖になっている可能性が高く、自然に治まることが少ないため、以下のようにやめさせる工夫が必要です。
手や口を使った遊びを取り入れる
積み木・粘土・折り紙・お絵描きなど、手を使う遊びを積極的に取り入れましょう。手や口を使った遊びに意識を向けることで自然と指しゃぶりの時間が減っていきます。
言葉で丁寧に説明する
なぜ指しゃぶりをやめた方が良いのかを、年齢に合わせて分かりやすく説明することも大切です。「バイ菌が口に入る」「歯並びが悪くなる」など、具体的な例を挙げて説明すると理解しやすいでしょう。
寝る前の習慣を見直す
寝る前に指しゃぶりをする場合は、安心して眠りにつける環境を整えてあげましょう。添い寝をする、絵本を読んであげる、子守唄を歌うなど、サポートしてあげてください。
指しゃぶり防止グッズを活用する
指しゃぶり防止用の手袋や苦味のあるマニキュアなど、市販のグッズを活用することも一つの方法です。ただし、様子を見ながら無理強いにならないように注意が必要です。
まとめ
指しゃぶりは、赤ちゃんが成長過程で自然に行う行為です。3歳頃までは自然に治まることが多いため過度な心配は不要ですが、4歳を過ぎても続く場合は、状況に合わせた方法でやめさせましょう。ただし、無理強いするのではなく、優しく見守りながらサポートしてあげることが大切です。
家庭での対応が難しい場合や歯並びへの影響が心配な場合は、歯科医師に相談することをおすすめします。お子様に合ったやめ方を見つけていくことが大切です。