抜歯
虫歯や歯髄炎、歯周病などがかなり進行して、歯の保存が不可能になった場合に行う医療行為です。最近の歯科治療では、できるだけ歯を残す方向に傾いていますが、抜歯を必要とする症例はかなり多いのが現状です。
大半は部分麻酔のもとで実施されますが、入院して全身麻酔下で行わなければならないケースなど、状態により抜歯の方法もさまざまです。また出血が止まりにくい血液疾患や、臓器疾患のために抜歯を避けた方がよいケースもあります。
歯の矯正や他の病気の治療のために抜歯を行うこともあります。親知らずで抜歯を経験した方も多いのではないでしょうか。
抜歯によって、歯の根元のすぐ近くにある三叉神経や顔面神経が傷つき、唇がしびれたり神経がマヒしたりすることもありますので、抜歯を選択する前にはきちんと説明を受けましょう。治療の際にご不明点があれば、何でもお声がけください。
粘膜疾患
粘膜疾患とは、口の粘膜(舌・頬・口蓋・口底・口唇・歯肉など)に炎症(口内炎など)や腫瘍(口腔癌など)、アレルギー症状などが出る疾患です。
口腔内の粘膜は歯や飲食などによる刺激を受けやすく、また多くの常在菌が存在しているため、安静を保つのが難しいのが特徴です。そのため症状が変化しやすく、診断が困難な場合があります。腫れているのか、えぐれ(腫瘍)はないか、変色部位などをチェックし、原因を突き止め対処していきます。全身疾患との関連があれば皮膚科や内科などと連携し、薬物療法や対症療法を行っていきます。
口腔内は唾液で保護されていますが、機械的・温度的な刺激に敏感のため、飲酒や喫煙はハイリスクの因子になり得ます。例えば口腔癌の死亡率ですが、喫煙者は非喫煙者に比べて4倍に跳ね上がります。口腔癌は早期発見、早期治療が重要になってきますので、毎月セルフチェックを行い、少しでも気になることがあれば診察を受けることが大切です。
外傷
口腔外科で治療する顔面の外傷には、歯が割れる・折れる・脱臼する、口腔内粘膜に傷がつく、皮膚が切れる、顎顔面骨が骨折するなどが挙げられます。
交通事故や様々な活動中の事故、生活の中での転倒や打撲など、原因は多数です。
機能面・審美面での変化が大きな問題になりかねません。負傷箇所にもよりますが、早期治療で両面とも回復が望めますので早めの受診が大切です。
顎関節症
口を動かそうとする時、耳の前あたりや、顎の筋肉が痛む。または大きく口を開けられない・開けるのが怖い、口の開け閉めの際に音がして気になるなどの症状があれば、それは顎関節症かもしれません。
顎関節症は、単一の病気ではなく、咀嚼(そしゃく)筋痛障害、顎(がく)関節痛障害、顎関節円板障害、変形性顎関節症といった疾患の総称となります。関節円板とは骨と骨の間でクッションの役割をしている組織で、ものを食べたり口を開けたりしたときに顎(顎)が痛む、口が開かない、顎を動かすと「カクン、カクン」と音がするなどの症状が出ます。
睡眠中の歯ぎしりや強い食いしばり、外傷、噛み合わせが悪いことなどが原因になることが多く、大半は生活習慣の改善で治せます。無意識に上下の歯を噛み合わせていないかをこまめに確認し、同じ姿勢をとり続けたり頬杖をついたりしないようにしましょう。1~2週間たっても症状が改善しないときは受診をおすすめします。