歯茎のぷっくりしたおできは「フィステル」かも?原因や放置する危険性を解説
- 2026/08/03
- 一般

「歯茎にぷっくりしたおできができたけど、これってニキビ?」「口内炎とは少し違うみたいだけど、痛くないのはなぜ?」「そのまま放置していても自然に治るの?」このような疑問や不安はありませんか?
歯茎にできた白っぽくぷっくりとしたおできの正体は、「フィステル(瘻孔)」と呼ばれる膿の出口かもしれません。
痛みがないからといって放置していると、歯の奥での感染が進行して歯を支える骨が溶けてしまい、最悪の場合は抜歯を余儀なくされる危険性もあります。
そこで本記事では、歯茎のおでき(フィステル)ができる主な原因や、放置してはいけない理由について解説します。
歯茎の「ぷっくりおでき」はフィステルの可能性
歯茎にできた白っぽいぷっくりとしたおでき。「ニキビかな?」「口内炎かな?」と思った方も多いのではないでしょうか。
このおできの正体として考えられるのが、「フィステル」です。「瘻孔(ろうこう)」や「サイナストラクト」とも呼ばれています。少し難しい名前ですが、歯茎の奥にたまった膿(うみ)が外に出てくるための出口のことです。
歯の根っこの先で炎症が起き、そこに膿がたまると、膿は行き場を求めて骨の中を通り、歯茎の表面にぷっくりとしたふくらみとなって現れます。
色は白っぽいものや黄色がかったものが多く、大きさは数ミリ程度です。指で軽く押すと、中から膿がにじみ出ることもあります。
フィステルそのものが悪性の腫瘍であったり、全身に広がって命にかかわるようなものであったりということではありません。しかし、歯茎にフィステルが現れているということは、歯の内部や根っこの周りで何らかの問題が起きている上、原因への対処が必要になります。
フィステルができる主な原因
フィステルは、「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」という状態が原因で起こります。これは歯の根っこの先端部分に炎症が起きている状態のことです。ここでは、主な原因を4つに分けて紹介します。
原因①:虫歯が進行して神経が死んでしまった場合
虫歯が歯の奥深くまで進行し、神経が死んだ場合、細菌はどんどん繁殖していきます。やがてその細菌が歯の根の先まで到達すると、根の先端の周囲に炎症が起き、膿がたまってフィステルとなって歯茎の表面に現れます。
原因②:過去の根管治療が不十分だった場合(再感染)

根管治療とは、虫歯などで感染した歯の神経を取り除き、歯の根の内部(根管)をきれいに掃除・消毒して、細菌が残らないように密封する治療のことです。
根管治療は、歯科治療の中でもとくに精密さが求められる処置です。歯の根の中は非常に複雑な形をしており、目に見えないほど細い管が枝分かれしていることもあります。そのため、過去に根管治療を受けていても、治療の精度が十分でなかった場合や、治療を途中で中断してしまった場合、根管内に細菌が残ってしまうことも。
残った細菌は時間とともに再び増殖し、歯の根の先に炎症を起こして膿がたまり、フィステルとして現れます。
原因③:事故や転倒などの外傷
転倒や事故、スポーツ中の衝突など、歯を強くぶつけた経験がある方も注意が必要です。
歯に強い衝撃が加わると、外から見た歯には異常がなくても、歯の内部の神経がダメージを受けて死んでしまうことがあります。神経が死んだ歯は、先ほどの虫歯のケースと同じように、内部で細菌が繁殖しやすくなり、根の先に膿がたまってフィステルができることがあります。
原因④:歯の根が割れている場合(歯根破折)
歯の根っこにヒビが入ったり、折れてしまったりする「歯根破折(しこんはせつ)」も、フィステルの原因の一つです。
歯根破折は、日常的な歯ぎしりや食いしばりで歯に過剰な力が加わり続けることで起きる場合があります。とくに注意が必要なのは、過去に神経を抜く治療をした歯です。神経を取った歯は、水分や栄養が行き渡りにくくなるため枯れ木のようにもろくなっており、歯根破折を起こしやすい状態にあります。
歯根が割れると、その割れ目から細菌が入り込み、炎症を起こしてフィステルにつながります。
歯茎のおできは自然に治る?放置しても大丈夫?

結論からお伝えすると、フィステルが自然に治ることはありません。放置すればするほど状況は悪化し、最終的には歯を失うリスクが高まります。
フィステルは膿の「出口」にすぎず、その奥にある炎症が解消されない限り、問題はずっと続きます。そのため、一時的にフィステルが消えたように見えても、それは膿が排出されてしぼんだだけで、歯の内部の感染は進行したままです。しばらくすると膿がふたたびたまり、同じ場所にフィステルが現れます。
さらに深刻なのは、炎症が続くことで起こる「骨の破壊」です。歯の根の先で炎症が起きると、私たちの体は骨を守ろうとして、炎症の周囲にある骨を自ら溶かすような反応を起こします。これは体の防御反応ではありますが、結果として歯を支える土台がどんどん失われていくことになります。
骨が十分に残っていれば、根管治療などの適切な処置を受けることで歯を残せるでしょう。しかし、骨の破壊が大きく進んでしまうと、歯を支えること自体が困難になり、抜歯を選択せざるを得なくなります。
市販の塗り薬や飲み薬でも、フィステルの原因となっている歯の根の感染を治すことはできません。フィステルを見つけたときは、放置せずできるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
まとめ
歯茎のぷっくりとしたおできの正体である「フィステル」は、歯の根の先に溜まった膿が歯茎の表面に出てきたものです。
主な原因としては、虫歯の進行や過去の根管治療の再感染、外傷による神経の死、歯の根が割れてしまう歯根破折などが挙げられます。
痛みがないケースが多く、一時的にしぼんで消えたように見えることもありますが、根本的な原因が解決していないため自然に治ることは決してありません。市販の薬も効果がなく、放置し続けると歯を支える骨が破壊され、最終的に抜歯が必要になるリスクがあります。
歯茎におできを見つけた場合は決して自己判断で放置せず、大切な歯を残すためにも、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
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