八重歯の矯正には抜歯が必要?歯を抜かない方法もある?
- 2024/06/01
- 矯正
歯を抜いて減らす抜歯矯正
八重歯は、前から3番目の歯である犬歯が外側に出ている歯並びです。その症状が強く、犬歯を正常な位置まで戻すのが困難な場合は、抜歯が必要となります。この時、一般の方は外側に出ている犬歯自体を抜歯すると思いがちですが、実際はそうではないケースが大半を占めます。前から4番目の第一小臼歯(だいいちしょうきゅうし)を抜いて、八重歯が正常な位置に戻るスペースを確保します。
ただし、八重歯が重度の虫歯になっていたり、外傷などでボロボロになっていたりする場合は、小臼歯ではなく犬歯を抜くことがあります。もしくは患者様の歯並びやかみ合わせ、歯の本数などによっては、犬歯を優先的に抜く場合もありますが、全体から見ると、それは極めて稀なケースといえるでしょう。
歯を削って小さくする非抜歯矯正
八重歯の症状がそれほど強くなく、犬歯を正常な位置に戻しやすい状態であれば、無理に抜歯をする必要はありません。抜歯をすることによってむしろかみ合わせが悪くなってしまう可能性もあるため、非抜歯で八重歯の矯正治療を行います。
その際、行われるのが「ストリッピング」や「IPR(アイピーアール)」、「ディスキング」などと呼ばれる処置です。いろいろな名前で呼ばれることがあるため、混乱してしまうかと思いますが、「歯の側面を少しずつ削る処置」と覚えておけば問題ありません。
基本的には、前歯の両側面を0.2~0.5mmずつ削って、足りないスペースを作り出します。合計6本の前歯に対してストリッピングを行うことで、かなりのスペースを確保できるため、歯を抜く必要もなくなるのです。
歯を削っても大丈夫?
歯を削るというと、とても危険なことのように感じるかもしれません。確かに、歯質は一度、削ると元に戻ることはないため、ストリッピングによって受けるダメージは確実に残ります。ただ、歯を削るのはエナメル質の範囲内であり、施術後に虫歯リスクが上昇したり、歯に痛みが生じたりするようなことはほとんどありませんのでご安心ください。また、歯を丸ごと1本抜く処置と比較した場合、患者様の心身にかかる負担を大幅に下げられることにも間違いはないのです。
八重歯の治療法とは
八重歯は、スペースの不足によって犬歯が外側に飛び出しているケースがほとんどであるため、上述した「歯を抜いて減らす処置」か「歯を削って小さくする処置」のいずれかが必要となりやすいです。その上で次のような矯正治療を実施します。
治療法1:ワイヤー矯正
1本1本の歯の表面にブラケットと呼ばれる四角い留め具を設置する治療法です。歯列全体に金属製のワイヤーを通すことで、外に飛び出している犬歯などを正常な位置へと移動できます。装置が目立ちやすく、食事や歯磨きがしにくいというデメリットを伴いますが、比較的症状の強い八重歯でも効率よく治せるのがワイヤー矯正の特長といえるでしょう。ワイヤー矯正には、ブラケットとワイヤーを歯列の裏側に設置する「裏側矯正(舌側矯正)」という選択肢もあるため、審美性が気になるという方はそちらを選んでも良いでしょう。
治療法2:マウスピース型矯正
透明なマウスピースを患者様自身が装着することで、歯が動いていきます。もちろん、八重歯も治療可能で、装置が目立ちにくい、食事や歯磨きを普段通りに行える、というメリットを伴います。ワイヤー矯正では、1か月に1回の通院が必要となるのですが、マウスピース型矯正の場合は、2か月に1回程度の通院で八重歯の治療を進めることができます。
ただし、症状の強い八重歯に関しては、マウスピース型矯正では治せないこともありますので、その点はご注意ください。たくさんの抜歯を行って、歯を大きく動かす必要があるケースは、三次元的に歯を大きく動かせるワイヤー矯正の方が適しています。
まとめ
今回は、八重歯の矯正治療における抜歯の要否について解説をしました。八重歯の症状が軽く、スペースの不足も軽度であれば、抜歯をする必要はありません。歯の側面を削るストリッピングで対応できるケースがほとんどです。
一方、八重歯の症状が重く、スペースが絶対的に不足している場合は、抜歯せざるを得ないでしょう。歯を抜いた上で足りないスペースを作り出し、犬歯を正常な位置へと移動させます。そんな八重歯の治療は、主にワイヤー矯正とマウスピース型矯正で行えます。どちらが適しているかは、患者様の八重歯の状態や矯正治療への考え方、ライフスタイルなどによって変わってくるため、まずは歯科医院でカウンセリングを受けることをおすすめします。