あなたの歯の噛み合わせは大丈夫?正しい位置とその見極め方
- 2025/10/01
- 審美歯科

歯の噛み合わせは見た目だけでなく、私たちの健康や日常生活にも大きく関わる重要な要素です。正しい噛み合わせが保たれていると食事がスムーズに行えるほか、発音や全身の健康にも良い影響を与えます。一方で、自身の噛み合わせが正しいかそうでないのか、疑問に思われる方も多いでしょう。そこで今回は、正しい噛み合わせの位置や治療が必要になるケース、さらに噛み合わせが全身に与える影響についてご紹介しましょう。
歯の噛み合わせの正しい位置とは?
歯の噛み合わせにはいくつかの理想的な基準があり、これらが整っていることで見た目にも機能的にも良好な状態が維持できます。ただし、その基準に当てはまらないからといって、必ずしも治療が必要というわけではありません。以下に理想的な噛み合わせの基準をご紹介しますが、あくまでも参考程度に、ご自身の噛み合わせをチェックしてみましょう。
上下の前歯の中心が合っている

上下の歯を噛み合わせた状態で鏡を見たとき、前歯の中心(正中)が一致しているのが理想的です。これにより、左右のバランスのとれた噛み合わせが維持できます。
上の前歯が少し前に出て被さる
理想的な噛み合わせは、上の前歯が下の前歯より2~3㎜前方にあり、さらに同程度に下の前歯の先端に覆い被さります。このバランスが乱れると、口元の見た目に支障をきたしたり、「食べ物が前歯で噛み切れない」といった症状をともなったりしやすくなります。
歯と歯の間にすき間がない
噛み合わせは、歯と歯の間に大きなすき間がない状態が理想的です。歯と歯が適度なスペースを保って並ぶことで、食べかすが詰まりにくく、歯磨きもしやすい状態が維持できます。
上下の奥歯が「1歯対2歯」で噛み合う
奥歯は上の奥歯1本に対し、下の奥歯が2本で噛み合う状態が、理想的な噛み合わせといえます。この噛み合わせにより、食べ物を効率的に噛み砕くことができます。
横顔のラインが整っている
横顔の美しさの目安とされる「Eライン」(鼻先と顎先を結んだ線)に、唇が自然に収まることも理想的な噛み合わせの条件とされています。
治療対象となる歯並び・噛み合わせとは
歯並びや噛み合わせの不具合(不正咬合)には、いくつかのタイプがあります。以下に、それぞれの特徴とリスクについてご紹介しましょう。
叢生(そうせい)

歯が重なりあって凸凹になっている状態です。歯磨きが難しく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、見た目を気にされる方も多くいらっしゃいます。
空隙歯列(くうげきしれつ)
歯と歯の間に不自然なすき間(空隙)がある状態です。食べ物が詰まりやすく、発音にも影響を与える可能性があります。また、審美面でのお悩みも多く聞かれます。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上の前歯が前に突き出ている状態で、一般に「出っ歯」と呼ばれます。見た目の問題だけでなく、「前歯で噛み切れない」「口が閉じない」など機能的な問題も生じやすくなります。
下顎前突(かがくぜんとつ)
下の歯が上の歯よりも前に出ている状態で、一般に「受け口」と呼ばれます。咀嚼効率の低下(物がうまく噛めない)や発音の問題が生じることがあります。また、顔貌にも影響を与える場合があります。
過蓋咬合(かがいこうごう)
上の前歯が下の前歯に深く噛みこんでいる状態です。顎の動きに制限がかかりやすく、顎関節の不調を招くことがあります。
開咬(かいこう)
奥歯で噛んだときに、上下の前歯が噛み合わない状態です。発音や咀嚼に問題が生じやすく、口呼吸の原因にもなります。
交叉咬合(こうさこうごう)
上下の歯が左右にずれて噛み合っている状態です。顎の成長に悪影響を及ぼし、顔のゆがみを引き起こすことがあります。
歯の噛み合わせは全身の健康に直結します
噛み合わせの問題は、お口や全身の健康にも様々な影響を及ぼす可能性があります。
お口の健康への影響
○虫歯・歯周病になりやすい
歯の重なりやすき間が多いと歯磨きがしづらく、虫歯・歯周病のリスクが高まります。
○咀嚼力(噛む力)が低下する

効率的に噛むことができないため、食事の楽しみが半減します。また、軟らかい食品を好むようになると、さらに咀嚼力が低下するなどの悪循環を招きます。
○発音に支障がでる
下顎前突や開咬では「サ行」「タ行」などの発音がしづらく、滑舌が悪くなることがあります。
全身への影響
○栄養が偏りやすい
噛みにくい食べ物を避けることで栄養バランスが崩れ、健康に悪影響を及ぼすことがあります。
○肩こり・頭痛を引き起こしやすい
噛み合わせの乱れが顎の筋肉のバランスを崩し、首や肩に負担をかけることがあります。ただし、これらの症状は噛み合わせが原因とは限らず、姿勢や生活習慣など様々な要因が関係していることも多いため、総合的な判断が必要です。
まとめ
歯の噛み合わせは私たちの健康にも大きく関わっています。しかし、必ずしもすべての方が教科書通りの理想的な噛み合わせである必要はありません。大切なのは自分のお口の状態に関心を持ち、気になることがあればすぐに相談できる「かかりつけ歯科医」を持つことです。本記事を参考に、何か少しでも気になることがあれば、遠慮なく当院へご相談ください。


